TOKYO CURIOSITY

東京画

東京画とは

私たちの居場所、東京の価値や存在を写真を通して、今、考える。

太田 菜穂子東京画 コミッショナー | ファウンダー

2011年春、私たちは「東日本大震災」という名で後世も記憶される未曾有の大惨事を体験しました。巨大地震、巨大津波、そして福島原子力発電所のメルトダウン、山紫水明という言葉で表現される美しい国土と安心、安全をキーワードにしてきた日本にとって、それはとてつもなく大きなダメージと未来への不安として脳裏に刻まれた出来事でした。
特に、三つ目の惨事の現場となった原子力発電所は東京という大都市のエネルギー供給のために設置された施設であったという事実、"都会という不毛の土地"に住む者に理屈ではない罪悪感として重くのしかかってきたのです。首都、東京がその立場や機能を維持するために派生しているさまざまな現実に私たちがいかに無関心、無知であったかを痛感させられました。
あれから歳月が流れ、2020年、二度目となるオリンピックの開催が決定しました。来るべき東京オリンピック・パラリンピックは、2011年の大震災から再生した新たな日本の姿を世界に向かって高らかに謳うシーンとなるはずです。つまりこの十年は東京がまさに新しい存在理由と価値を構築する過程となる特別な時代でもあるのです。
『東京画』はこの特別な時代を、100人の写真家が東京を被写体とした作品をアーカイブすると同時に、彼らの眼差しを通して、東京が歩むべき道をリアルタイムで同時代の人々と共に考えてゆく鮮度の高い発信活動を目的としています。今、東京で何を問題点として自覚し、何を美しいと判断し、何を悲しく想い、何を大切だと感じ、そしてどんな可能性が見えているか、写真として提示したいと思うのです。
この十年間、大きく変貌を遂げようとする東京という都市の鼓動と呼吸を共に感じ、ひらすら真摯に「今という時間」に向き合い、ここで起こる事実を積み重ねてゆきたいと願っています。